昔のフランス語、つまりラテン語の性質が今よりも多くの残っていた時代のフランス語は、音もラテン語のようにはっきりしたものでした。現在、私たちが思うような情緒的印象はなく、もっとしっかりと発音される言語であったようです。その時代では、否定を表す単語はneの一つだけでした。これを「ネ」もしくはアクセントをつけて「ネー」と発音されていたようで、しっかり聞き取れていたんですね。しかし、時代を下がるにつれて、フランス語の発音は、独特のボソボソとした不明瞭なものになってゆき、neも「ヌ」の音になりました。 すると、今までは聞き取れていたはずのneが、速く話したり周りが騒々しいと聞き落してしまうといったような困ったケースが続発!そこで、フランス人は新しく動詞の後にも聞き取りやすいpas「パ」を加えて、この文章は否定文ですよ~というのを強調し始めたのです。